カテゴリ
治療の流れと安全性
公開日
Apr 13, 2025 5:42 PM
更新日
Jun 14, 2025 6:09 AM
電磁界と人体への影響
電磁界とは
- 「電磁界」とは、「電界」と「磁界」を合わせたものである。
- 「電界」は、「電圧」がかかっている物の周りに発生する電気のある空間である。
- 「磁界」は、「磁石」の周りや「電流」が流れている物の周りに発生する磁気のある空間である。
人体への影響は?
※f=周波数(MHz)
- 電磁界では、深部体温の上昇、神経や筋肉および心臓への電気刺激、高周波熱傷など の影響が懸念される。
- 一方で、医療用の高周波誘電加温装置では、電磁界強度の上限値が決められていない。
- 術者の安全を守る観点から、アスクーフ8における電磁界強度を測定し、電波防護指針の値と比較を行った。
電磁界度の測定_方法
電界強度[E(V/m)] と磁界強度[H(A/m)]の測定
電磁界強度測定器 NBM-520型
- 加温条件:8MHz 循環水冷水:10℃ 室温:25℃一定 実効出力:100W、500W 、1000W
- ファントムサイズ:35×35×20cm
- パッドサイズ:電極上下共に30cm
- 測定の高さA~Cは寝台上、DEは床から100 cm
- 電極パッド30 cmを用いて35 cm×35 cm×20 cmの寒天ファントム(庄内クリエート工業社製)加温時の電界強度[V/m]、および磁界強度[A/m]を測定した。
- 電磁界強度測定器はNBM-520型を用いた。
- 発振時の循環は冷水循環とし、設定温度は10℃とした。
- 測定箇所に関しては、図中におけるA~Eとした。
- 測定点A~Cは電極中心より30 cm、60 cm、および100 cmであり患者を模擬した位置である。
- 測定点Dはガントリー操作位置、測定点Eは操作デスク位置であり、術者を模擬した位置である。
- 測定した高さはA~Cは寝台の直上とし、DEは床から100 cmとした。ただし、装置の実効出力は100 W、500 W、および1000 Wとし、実効出力は以下の式で定義した。 実効出力(W)= 出力(W)- 反射(W)
①電界強度[E(V/m)]_結果
電波防護指針の目安/電界強度230E(V/m)
- 実効出力の増加とともに電界強度は直線的に増加することがわかる。
- 患者位置を模擬したA~Cにおいては、電極パッドに近いほど電界強度が高いものの、全ての位置において指針値である230(V/m)を越えていない。
- 術者位置を模擬したD~Eにおいては指針値を大きく下回っていた。
②磁界強度[H(A/m)]_結果
- 実効出力の増加とともに磁界強度は直線的に増加した。
- 患者位置を模擬したA~Cにおいては、電極パッドに近いほど磁界強度が高く、特に測定点Aでは、指針値である0.61(A/m)を越えていた。
- 術者位置を模擬したD~Eにおいては指針値を下回っていた。
磁界強度が指針値を超えているけど大丈夫?
- 電波防護指針において患者は対象としておらず、安全性を十分に認識した上で用いるのであれば容認できるとされている。
- これは、放射線の上限値の考えに似ている。
- 放射線は、年間の被ばく上限が50 mSvと決められているが、それは医療スタッフの上限値であって、患者の被ばくの上限値ではない。患者の被ばくの上限値を決めてしまうと有用な検査や治療が出来なくなる可能性がある。
- 電磁界においても同様で、患者や医療機器に上限値がないのは、温熱療法を受けることによってがん治療が行えるにもかかわらず、電磁界の上限値を設けたために治療が受けられなくなる可能性を排除するためである。リスクとベネフィットを十分に理解したうえでならば容認できるというのはそのように解釈できる。
- 電磁界の蓄積効果はなく、一度離れればリセットされるといわれている。各国間でも指針値にはバラつきがあり、それは、この指針値には安全率が入っているためである。上限値を超えたらすぐに障害が発生するわけではない点から考えても、本装置の電磁界強度は十分に抑えられており問題ないレベルであると考える。
アスクーフ8の高周波漏洩・曝露の低減対策
- アスクーフ8ではほとんどの位置で電波防護指針の目安値を下回った。
- これは、アスクーフ8が高周波漏洩・曝露の低減対策のため、ガントリーの幅を広くしたり、アルミシールド方式を用いて工夫しているためである。
- 特に、術者の位置ではいずれの位置でも電磁界強度を下回っており、術者の安全性の観点からも優れた装置である。
㈱庄内クリエート工業
カタログには載っていない特殊な産業用機械 (例:菓子製造機、印刷用製版機等)や自主開発の医療機器、高周波式ハイパーサーミア【アスクーフ8】(がん治療機)製造 を行っています。
本社サイト: https://www.s-create.jp/